前回の第3回はこの2つに触れた。
●烏丸蓮耶と新出智明の名前のつながり
●板倉卓は、今で言う生成AIを作らされていた
今回は、黄昏の館に集められた学者たちに焦点を当てるとともに、新出家が黒の組織の成り立ちに関わった背景も見ていく。
考古学に脳科学の権威、医者・・・黄昏の館に集められたオールスター
黄昏の館に大勢の学者たちが集められた理由は、館の中に隠された財宝を烏丸蓮耶のために見つけ出すためだった。考古学者が中心だったようだが、大勢いるので、他の分野の学者もいたと考えるのが自然だ。たとえば脳科学、精神科学、社会学、建築学の学者などなど。それから、学者以外にも、医者などの専門家もいただろう。
その道のトップクラスの者たちが、共通のお題(ここでは一刻も早い財宝の発見)を与えられ、死期の迫った烏丸蓮耶のために財宝を探す。このとき、一刻も早く財宝を発見するため、烏丸蓮耶がこんな関心を持っていたとしたらどうだろう。
学者や専門家たちは、プレッシャーがかかり極限に近い特殊な状況で、どのように考え、どのように動くのか?時間が経過しさらにプレッシャーが高まるにつれ、どのような精神状態になっていくのか?その中で、彼らを有効活用するにはどうすればいいのか?こういったアドバイスは、脳科学や精神科学、社会学の学者ならできそうだ。
さらに、財宝を探すにあたり、黄昏の館の紙の建築設計書がないなら、建築学の専門家に構造を明らかにしてもらう必要がある。
大勢の学者や専門家たちが交わす会話からは、膨大な知識や知恵が得られたことだろう。館内での行動パターンからも、有能な人材を活用するためのヒントが得られただろう。それらの膨大な財産を、烏丸蓮耶の死後に他人にやすやすと取られてしまっては困る。だから、古代王家の財産の保管方法(隠し方)に詳しい考古学者の助けも必要だ。
烏丸蓮耶の体調悪化を和らげるには、24時間体制で主治医にそばにいてもらう必要もある。
というわけで、いろいろな分野の学者や専門家が必要になるのだ。
主治医が烏丸蓮耶からの信頼を決定的なものに
一刻も早く財宝を見つけるために集められた大勢の学者たちだったが、そこで集約された知識や知恵を一手に持つことが、良くも悪くも大きな影響力を持ち、使いようによっては他者を、ひいては世界を意のままにできる可能性がある。
そのことに烏丸自身が気づいていたとしたら?そんな威力抜群のポテンシャルを持った英知を、死期の迫っている自分に代わり、自分が信じる者だけに託したいと考えるはず。では、その人物とはだれか・・・?
それは、集められた学者の中にいた主治医ではないか。そしてその主治医は、新出先生の先祖だったのではないだろうか。医師の家系は代々医師ということが多いので。
死の不安と、財宝が見つかるかわからない焦りを持つ烏丸蓮耶のそばで、常に寄り添う主治医。そんな主治医が、烏丸蓮耶の信頼を大いに得たとしても不思議ではない。
黄昏の館で記録された大勢の学者の英知を、烏丸蓮耶から託された新出家。やがて野心を持つようになった新出家の先祖たちは、その英知を使った活動を開始し、徐々に組織化していったのではないだろうか(※下記に青マーカーの注釈追記)。また、そこには、「超大口資金提供者である烏丸蓮耶」と「医師家系でそれなりの資金力があり組織の運営者でもある新出家」の構図があったのだと思う。
(※注釈追記)「17年前の真相」を読んだことで、黒の組織の活動が始まったのは、黄昏の館のもっとずっと前だということがわかった。烏丸蓮耶の誕生パーティーでアマンダ・ヒューズがラムに会ったのが50年前で、そういう会話があったシーンが17年前のことなので、その誕生パーティーは今から67年前。さらに、当時ラムはこどもであり、自身の父親が先代ラムとしてあの方に長年仕えたので、黒の組織の始まりは黄昏のもっと前だったと思われる。年表はこの回で整理した。
次回は、この3つを見ていく。
●組織の中で起きた「新出家かそれ以外か」の権力闘争
●新出先生の祖父だけが家族構成に出てこない
●蓮は最後に沈んで消えていく・・・蓮の沈黙